2025年2月19日時点の株価と配当予想に基づき、配当利回りの高い順に日本の銀行株トップ30をまとめました。それぞれについて「配当利回り(年間配当額 ÷ 株価)」「PER(株価収益率)」「PBR(株価純資産倍率)」「配当性向」「事業戦略」「直近の決算動向」「割安性の評価」を記載しています。なお、本ランキングにはノンバンクや総合金融サービスを提供する企業も含まれます。
1. イオンフィナンシャルサービス (8570) – 配当利回り 4.21%
- 配当利回り
4.21%(予想年間配当金60円、株価1,420円前後)。銀行セクターでも際立つ高水準です。 - PER・PBR
- PER:13.0倍(市場平均並み)
- PBR:0.59倍(純資産に対して株価が半分強にとどまる水準)
- 配当性向
直近の年間配当60円に対し予想EPSは約167円で、配当性向は約36%程度と推定。会社目標は30~40%程度とされており、安定配当を維持しつつ利益成長に応じて増配を図る方針です。 - 事業戦略
「イオンカード」に代表されるクレジット・ローン等の個人金融事業が主体。国内外でカード・電子マネー事業を展開し、東南アジアを中心に海外金融事業も拡大中。グループの流通基盤と連携し、新商品の提供やDX推進で収益拡大を狙っています。 - 直近の決算動向
2024年3月期第3四半期累計(2023年3月~11月)は経常利益が前年同期比44%増と大幅増益で着地し、9~11月期も85%増益と利益拡大が加速。カード利用額の増加や不良債権コスト低減が寄与し、増収増益となっています。 - 割安性の評価
PBRが0.6倍弱と純資産に対し大きく割安。高い利回りと利益成長を考えると株価には割安感があります。特に海外展開による成長期待に対し株価評価が追いついておらず、今後の収益拡大が継続すれば見直し余地があるでしょう。
2. 紀陽銀行 (8370) – 配当利回り 4.04%
- 配当利回り
4.04%(予想年配当80円、株価約2,029円)。地方銀行としては株主還元に積極的です。 - PER・PBR
- PER:9.8倍(割安圏)
- PBR:0.61倍(株価は純資産の6割程度に低評価)
- 配当性向
直近期の配当金80円に対しEPSは170円強と推定され、配当性向は約47%前後。歴史的には20~30%台でしたが、近年は自己株取得も含め総還元性向40%以上を目指す方針を掲げています。 - 事業戦略
和歌山県地盤の地方銀行で、京阪神にも展開。地元企業・個人向け融資に加え、コンサルや信託など非金利ビジネスの強化を図っています。店舗統廃合やDXで経費削減を進めつつ、専門部署配置によるソリューション営業強化などで収益力向上を狙います。 - 直近の決算動向
2025年3月期第3四半期累計(4~12月)の連結経常利益は前年同期比8.5%増益の165億円で、順調に増益基調。貸出金利息の増加や与信費用の低位安定で、10~12月期単独でも8%増益。業績は2期連続の増収増益で推移しています。 - 割安性の評価
PBR0.6倍と著しく割安な水準。地方銀行業界は人口減など構造課題がありますが、足元の収益改善を踏まえると現在の株価水準には割安感があります。自己資本比率の高さや不良債権低水準を考慮すると、中長期的には評価修正の余地があるでしょう。
3. 第四北越フィナンシャルグループ (7327) – 配当利回り 3.98%
- 配当利回り
3.98%(予想年間配当80円、株価約2,010円)。新潟県の第四銀行と北越銀行の統合持株会社で、統合効果を背景に安定配当を実施しています。 - PER・PBR
- PER:9.8倍
- PBR:0.50倍(純資産の半分程度の評価しか受けていない極めて割安なバリュエーション)
- 配当性向
配当金80円に対し配当性向はおよそ30%台後半とみられます。グループでは総還元性向50%を目指す中期方針を掲げており、余剰資本の活用による株主還元拡充が期待されます。 - 事業戦略
新潟県全域をカバーする広域地盤の地方銀行グループ。経営統合(2018年)による店舗や本部の効率化でコスト削減を進めつつ、顧客基盤を活かしたクロスセリングや地域密着サービス強化に注力しています。地方銀行連合(TSUBASAアライアンス)にも参加し、システム共同化などで経費削減とサービス向上を図っています。 - 直近の決算動向
2023年3月期は経常利益が前期比16.5%増の687億円、当期純利益も13%増の473億円と過去最高益水準。2024年3月期も金利上昇で資金利益が増加基調にあり、融資利ザヤ改善で増益が続く見通し。統合効果による費用減と与信コスト低位安定も寄与し、順調に業績が推移しています。 - 割安性の評価
PBR0.5倍と純資産の半分程度の評価に留まり著しく割安。統合で経営体力が強化されており、中長期的に適正バリュエーションへの修正余地があるでしょう。
4. 三井住友トラスト・ホールディングス (8309) – 配当利回り 3.96%
- 配当利回り
3.96%(予想年配当170円、株価約4,290円)。メガ信託銀行グループとして堅実な高配当を継続しています。 - PER・PBR
- PER:11.1倍
- PBR:0.89倍(1倍を下回るが、メガバンクよりはやや高め)
- 配当性向
近年は連結配当性向40%を目安としており、2023年3月期は配当性向40.6%、2024年3月期は一時的要因で100%超となりましたが、特殊要因を除けば安定的に40%前後を維持しています。今後も安定配当+業績連動増配の方針が続く見込みです。 - 事業戦略
銀行・信託・不動産・資産運用を傘下に持つ信託銀行グループ。預貸業務だけでなく、不動産仲介や資産管理、証券代行など手数料ビジネスに強みがあります。中期経営計画では資産運用コンサル強化やデジタル化推進による付加価値向上を掲げ、国内超低金利下でもROE向上を図る戦略です。 - 直近の決算動向
2025年3月期第3四半期累計(4~12月)は与信関係費用の増加で前年同期比減益となったものの、本業利益は堅調。2024年3月期は市場環境悪化で一時的に純利益が減少しましたが、2025年3月期は純利益2,500億円(前年比+60%)への増益予想に上方修正されています。手数料収入が底堅く、海外株式売却益など特別要因を除けば安定した利益水準を維持しています。 - 割安性の評価
PBR0.9倍と解散価値並みの水準で、信託銀行の独自ビジネスモデルや安定収益に対し評価はやや低めです。自己資本厚く不良債権比率も低位である点を考えると依然割安感は残りますが、メガバンク勢と比べると多少評価が是正されてきています。今後の資産運用ビジネス拡大や株主還元充実による評価改善の可能性があります。
5. 三十三フィナンシャルグループ (7322) – 配当利回り 3.96%
- 配当利回り
3.96%(年間配当予想未定だが直近実績70円、株価約1,765円相当)。三重県の第三銀行と三重銀行の経営統合で誕生した持株会社で、統合後も高利回りを維持しています。 - PER・PBR
- PER:7.7倍
- PBR:0.29倍(0.3倍を切る超低水準で、統合効果への市場評価が極めて厳しい)
- 配当性向
統合後の利益水準に対し配当金70円(前期実績ベース)で計算すると配当性向は25~30%程度。まだ統合作業中のため低めですが、今後安定利益が定着すれば配当性向引き上げ余地があります。 - 事業戦略
三重県を地盤とする地方銀行グループで、2018年に旧第三銀行と旧三重銀行が統合。店舗・人員の効率化を進め、県内シェア拡大とサービス向上に取り組んでいます。事業承継支援や観光振興など地方創生へ貢献しつつ、周辺の東海圏地銀との連携による経営基盤強化を図っています。 - 直近の決算動向
2023年3月期は経常利益が前期比9%増の210億円と増収増益。2024年3月期も融資利回り上昇や不良債権費用低水準に支えられ、順調に利益計画を達成中。統合効果によるコスト削減も寄与し、収益基盤は安定化しつつあります。 - 割安性の評価
PBR0.3倍という非常に割安な株価水準。市場はシステム統合コストや地元経済の先行きを慎重に見ていますが、統合メリットで利益が底上げされている点を考慮すると過度に低い評価といえます。配当性向引き上げや更なる株主還元策が出れば、大きな評価修正余地があるでしょう。
6. 秋田銀行 (8343) – 配当利回り 3.95%
- 配当利回り
3.95%(予想年間配当80円、株価約2,025円)。東北地方の地方銀行としては高めの利回り水準です。 - PER・PBR
- PER:8.1倍
- PBR:0.24倍(純資産の4分の1程度しか評価されていない極端な低水準)
- 配当性向
配当80円に対しEPSは300円超とみられ、配当性向は25%前後。内部留保を重視する姿勢ですが、自己資本は充実しており今後は配当性向引き上げ余地も。業界平均の30~40%に比べかなり低いため、増配や自己株買いによる還元強化が期待されます。 - 事業戦略
秋田県地盤の地方銀行。人口減少が進むなか、県外(宮城・岩手南部)にも進出し融資先拡大を図っています。フィンテック企業との連携やDX推進でコスト削減とサービス向上にも注力。北都銀行(第二地銀)とは統合せず独立路線を維持し、県外貸出に活路を見出す戦略です。 - 直近の決算動向
2023年3月期は連結純利益が前期比9.5%増の117億円と過去最高を更新。2024年3月期も貸出利息増・有価証券利息改善で増益基調。不良債権比率は低位安定し、与信費用の戻り益も収益に寄与。地方景気の逆風下でも安定業績を維持しています。 - 割安性の評価
PBR0.24倍は業界最廉価水準。地方銀行セクター全般の将来不安はあるものの、財務健全性と安定利益を鑑みると割安度が際立ちます。着実に利益を積み上げる現状から見て、低評価が行き過ぎとの見方もできるでしょう。
7. ひろぎんホールディングス (7337) – 配当利回り 3.92%
- 配当利回り
3.92%(予想年配当47円、株価約1,200円)。旧広島銀行が持株会社化後も増配を続けています。 - PER・PBR
- PER:10.3倍
- PBR:0.68倍(依然1倍を下回る割安圏だが、地方銀行としては評価が高まりつつある)
- 配当性向
2023年3月期の配当46円に対してEPS約130円、配当性向約35%。連結配当性向50%を中期目標に掲げており、安定増配と自己株買いを組み合わせ総還元性向を高める方針です。 - 事業戦略
広島県を中心に瀬戸内エリアで展開する地方銀行グループ。銀行以外の事業(リース・証券・VCなど)を傘下に収め、総合金融サービスを強化。地元大企業から中小・個人まで幅広い顧客基盤を持ち、インフラ需要や再開発案件にも積極関与。DXや店舗改革を通じて効率化を図り、周辺県への営業拡大戦略も進めています。 - 直近の決算動向
2023年3月期は連結純利益が前期比12%増の305億円。2024年3月期上期も経常利益は前年同期比8%増。貸出金利回りの上昇や有価証券運用益の増加で資金利益が改善し、不良債権処理費用も低水準に抑えられています。 - 割安性の評価
PBR0.68倍と依然割安感はありますが、株価純資産倍率は上昇傾向。これは安定した増益と積極的株主還元が評価され始めた結果と考えられます。それでもなお解散価値を大きく下回る水準であり、中長期的に成長戦略が実を結べばさらなる株価見直し余地があります。
8. しずおかフィナンシャルグループ (5831) – 配当利回り 3.90%
- 配当利回り
3.90%(年間配当予想60円、株価約1,540円)。旧静岡銀行が持株会社化して誕生し、高水準の配当を維持しています。 - PER・PBR
- PER:11.4倍
- PBR:0.69倍(まだ1倍を下回る評価)
- 配当性向
直近の配当60円に対しEPSは170円強で35%前後。静岡銀行時代から配当性向50%超の高い株主還元方針を掲げ、自己株買いも積極的。2023年3月期は総還元性向88%(配当+大規模自社株買い)と、資本還元姿勢が鮮明です。 - 事業戦略
静岡県を地盤とする国内有数の優良地銀グループ。地元に優良企業が多く、預貸率や不良債権比率も良好。近年は地銀連合を通じた広域連携戦略やDXへの先進的取り組みを推進。フィンテックとの協業やシステム内製化などでコスト競争力を高めています。 - 直近の決算動向
2023年3月期は連結純利益が前期比2.9%増の544億円で過去最高水準。2024年3月期も利ザヤ改善でコア業務純益が増加基調。有価証券評価損や与信費用で一時的減益予想はあるものの、基礎的収益力は高く堅調です。 - 割安性の評価
PBR0.69倍でまだ割安。メガバンク並みの財務健全性や収益力を持ちながら、地方銀行ゆえ低評価が続いています。高い株主還元(総還元性向70~100%)を考慮すると、株価には上昇余地があります。提携戦略が奏功して利益成長が進めば、一層の見直し余地が高まるでしょう。
9. Jトラスト (8508) – 配当利回り 3.85%
- 配当利回り
3.85%(年間配当16円、株価約416円)。ノンバンク系金融会社ながら堅実な配当を出しています。 - PER・PBR
- PER:9.0倍
- PBR:0.37倍(著しく低い割引評価)
- 配当性向
直近期のEPSは50円超で、配当16円に対する配当性向は30%前後と推定。業績変動が大きい会社ですが、ここ数年は安定配当を維持。利益成長次第で配当性向を引き上げる可能性もあります。 - 事業戦略
日本および東アジアで総合金融事業を展開。国内では保証事業や債権回収が主力で、海外では韓国・モンゴル・インドネシアなどで銀行・リース事業を手掛けます。無担保ローンを縮小し、保証業務や東南アジアの銀行事業に注力。韓国では貯蓄銀行を買収し、現地トップクラスを目指すなどM&Aを活用した成長を狙っています。 - 直近の決算動向
2023年12月期はコロナ禍からの経済正常化で貸倒引当の戻り益が発生し大幅増益見通し。実際2023年3Q累計の連結経常利益は前年同期比3倍超。不採算事業整理が奏功し黒字幅拡大に転じています。新中期計画では営業利益100億円超を目指し、足元も計画以上の進捗。 - 割安性の評価
PBR0.37倍は大幅割安。過去の業績ブレが敬遠されがちですが、事業ポートフォリオ整理が進み収益は安定化傾向。アジア金融事業の成長や不動産など多角化による収益拡大を考慮すると、中長期的に見直し余地があります。
10. 鳥取銀行 (8383) – 配当利回り 3.82%
- 配当利回り
3.82%(年間配当予想50円、株価約1,310円)。地方銀行として堅調な配当です。 - PER・PBR
- PER:11.7倍
- PBR:0.25倍(純資産の4分の1程度の評価にとどまる極端な低水準)
- 配当性向
配当50円に対しEPSは150~200円程度とみられ、配当性向は25~30%程度。内部留保を優先しつつ安定配当を維持する方針ですが、今後業績が伸びれば配当性向引き上げ余地もあります。 - 事業戦略
鳥取県を地盤とする規模の小さい地方銀行。県内貸出重視と同時に「広域連携戦略」を掲げ、近隣行との連携も模索。店舗集約やオンラインサービス強化などで効率化を進めています。将来的な他行との経営統合の可能性も取り沙汰されますが、現状は独立経営を貫いています。 - 直近の決算動向
2023年3月期は連結純利益が前期比21%増の37億円。コア業務純益も増加し本業ベースの収益力が向上。2024年3月期は純利益微減予想ながら、貸出金利息の伸びで増収傾向。不良債権比率は低位で安定しています。 - 割安性の評価
PBR0.25倍は業界内でも群を抜く低評価。地方経済規模の小ささからリスクが織り込まれているものの、自己資本比率は高く経営は堅実。広域連携や再編が進めば評価が変わる可能性があり、現株価には安全余地が大きいでしょう。
11. 山陰合同銀行 (8381) – 配当利回り 3.80%
- 配当利回り
3.80%(年間配当予想48円、株価約1,263円)。島根・鳥取の広域地銀として安定した配当を出しています。 - PER・PBR
- PER:10.6倍
- PBR:0.61倍(地方銀行平均並みの水準で依然割安圏)
- 配当性向
配当48円に対してEPSは140円前後とみられ、配当性向は約34%。将来的には配当性向50%程度を目標に掲げており、安定増配を継続する方針です。 - 事業戦略
島根・鳥取の二県に跨る広域地方銀行。観光・インフラ・地場産業支援など地域経済活性化に積極的で、信金など地域金融機関と連携協定を結び、枠を超えた協働を進めています。自前の営業スタイルを貫きつつも、デジタル通貨の実証実験など先進的取り組みにも注力し、サービス向上を図っています。 - 直近の決算動向
2023年3月期は連結純利益が前期比8.4%増の149億円。不良債権費用の減少や役務取引収益の増加が寄与。2024年3月期も増益見込みで、利ザヤ縮小が一巡し資金利益が持ち直し中。鳥取銀行との連携強化もあり、地域金融プラットフォーム構築に向けた取り組みが業績を後押ししています。 - 割安性の評価
PBR0.61倍は依然低いものの、同規模地銀としては平均的な水準。地方主要二県という市場の限界が割り引かれているものの、安定利益を考えればなお割安感があります。広域連携やビジネスモデル転換で成長期待が高まれば、評価見直し余地があるでしょう。
12. 西日本フィナンシャルホールディングス (7189) – 配当利回り 3.67%
- 配当利回り
3.67%(年間配当予想27円、株価約737円)。福岡地盤の西日本シティ銀行などを傘下に持つ持株会社で、堅調な配当を実施。 - PER・PBR
- PER:9.5倍
- PBR:0.51倍(半値程度の低評価)
- 配当性向
配当27円に対しEPSは約75円とみられ、配当性向は36%程度。配当性向50%超を掲げており、2023年3月期は約41%で増配。今後も安定増配が見込まれます。 - 事業戦略
九州・福岡を拠点とする地方銀行グループ。人口増・経済活況の福岡県で中小企業融資や個人ローンに強み。宮崎太陽銀行や南日本銀行との連携や「九州共同センター」構築など、広域協調戦略にも取り組んでいます。スタートアップへの投融資やベンチャー支援など新産業分野への進出も積極的です。 - 直近の決算動向
2023年3月期は連結純利益254億円(前期比10%増)で2期連続の増益。2024年3月期も純利益270億円を計画し順調。貸出拡大と金利上昇による資金利益増、低位安定の与信費用で収益が支えられています。 - 割安性の評価
PBR0.51倍で著しい割安。福岡という成長市場を抱えるにもかかわらず低評価に留まっていますが、配当性向引き上げや事業領域拡大などで評価改善の余地は大きいです。将来的な九州地銀再編でのキープレイヤーでもあり、再評価の可能性があります。
13. 筑邦銀行 (8398) – 配当利回り 3.64%
- 配当利回り
3.64%(年間配当予想50円、株価約1,375円)。福岡県筑後地区を地盤とする第二地方銀行で、高めの利回り水準。 - PER・PBR
- PER:9.2倍
- PBR:0.24倍(純資産から大幅ディスカウントされた状態)
- 配当性向
配当50円に対してEPS200円超とみられ、配当性向は25%以下と控えめ。内部留保重視ですが、自己資本は十分で将来の配当性向引き上げ余地は大きいです。 - 事業戦略
福岡県南部の第二地銀で、地元中小企業や個人融資に強み。県内中心の店舗網ですが、福岡都市圏の成長も取り込むべくエリア拡大を模索。西日本FHなど近隣大手行との連携協議もあり、独自性を保ちつつ事務効率化とデジタル化で経費率改善を進めています。 - 直近の決算動向
2023年3月期は純利益29億円(前期比7%増)で過去最高益。貸出資産の着実な積み増しと与信費用縮小で利益を伸ばしています。2024年3月期も順調で、9月中間期は経常利益が前年同期比増益。特別要因もあって利益が押し上げられています。 - 割安性の評価
PBR0.24倍は銀行株のなかでも最も割安水準の一角。流動性の低さや市場規模の小ささが敬遠要因ですが、財務健全性と収益力を考えると割安度が著しいです。地銀再編で大手の傘下に入るような事態があれば純資産水準まで株価が修正される可能性もあり、大きな上昇余地が見込まれます。
14. セブン銀行 (8410) – 配当利回り 3.61%
- 配当利回り
3.61%(年間配当予想11.0円、株価約305円)。コンビニATM専業銀行として安定配当を継続しており、高い利回り水準です。 - PER・PBR
- PER:18.3倍(やや高め)
- PBR:1.31倍(銀行株の中では珍しく1倍超で、純資産以上の評価)
- 配当性向
配当11円に対しEPS予想12円強で配当性向90%超。利益の大半を配当に充てる政策で、安定配当を最優先しています。 - 事業戦略
全国のコンビニ(セブンイレブンなど)にATM網を展開する流通系ネット銀行。メイン収益はATM利用手数料。国内で約2万5千台のATMネットワークを築き、海外展開(アメリカ・アジア)やカードローン・送金サービスなど周辺事業拡充を図っています。親会社セブン&アイHDとの協働でデジタルバンクサービスも強化中。 - 直近の決算動向
2023年3月期は純利益290億円(前年並み)。2024年3月期第3四半期累計は為替差益も寄与し増益。コロナ前水準に国内ATM利用が戻りつつあり、システム更新費や海外展開費用をこなしつつ増収増益を確保しています。カード不正利用による特損も発生しましたが、それを吸収する底力があります。 - 割安性の評価
PBR1.3倍は安定収益モデルへの市場信頼を反映。ただPER18倍が示すように、成長期待はあまり織り込まれていません。新サービスや海外事業が軌道に乗れば増益余地があり、株価さらなる上昇も期待。現状でもディフェンシブな高配当株として魅力的です。
15. 池田泉州ホールディングス (8714) – 配当利回り 3.61%
- 配当利回り
3.61%(年間配当予想15円、株価約415円)。大阪府を地盤とする地方銀行グループとして安定配当を実施中。 - PER・PBR
- PER:9.0倍
- PBR:0.48倍(純資産の半分以下で割安)
- 配当性向
配当15円に対しEPSは30円台後半程度とみられ、配当性向は40%前後。安定配当方針で緩やかな増配を行っており、今期は配当性向40%超と見込まれます。 - 事業戦略
大阪府南部・泉州地域に強みを持つ地方銀行(池田泉州銀行)の持株会社。2009年に池田銀行と泉州銀行が合併して発足。関西圏で中小企業向け融資拡大やリテール分野の資産運用販売に注力。関西圏地銀との共同システム導入でコスト削減も図っています。IR(カジノ)や大阪万博など将来の大型需要をにらんだ融資にも期待がかかります。 - 直近の決算動向
2023年3月期は純利益154億円(前期比8%増)。2024年3月期も160億円程度を計画し順調。大阪万博やIR誘致に伴う貸出需要や金利改善が追い風。不良債権比率も1%未満と低く安定。 - 割安性の評価
PBR0.48倍は大きく割安。関西圏という大市場を抱えながら地銀統合不透明感などで低評価ですが、財務基盤は健全で配当利回りも高く、投資妙味があります。周辺地銀との再編思惑もあり、実現すれば大幅な株価見直しが期待できるでしょう。
16. ゆうちょ銀行 (7182) – 配当利回り 3.61%
- 配当利回り
3.61%(年間配当予想56円、株価約1,550円)。日本最大の預金量を持ち、民営化後も安定した高配当を維持。 - PER・PBR
- PER:14.0倍
- PBR:0.60倍(メガバンクより低い成長力を織り込んだ水準)
- 配当性向
配当性向50%を目安にしており、2023年3月期は配当56円で50%程度。2024年3月期も増配(60円)で配当性向50%を維持する見通し。安定した収益基盤から毎期着実に配当を増やしています。 - 事業戦略
日本郵政グループの中核として全国の郵便局網を通じて預貯金を集め、国債などで運用してきましたが超低金利下で収益率は低下。近年は運用多様化(株式・投信・海外資産など)やローン事業を強化し、ビジネスモデルの転換を図っています。投信や保険販売による手数料ビジネスやスマホ金融サービス拡充にも注力。 - 直近の決算動向
2023年3月期は経常利益4,504億円(前期比+6.5%)と増益。2024年3月期も4,200億円程度の高水準を維持見込み。長期金利上限引き上げで債券評価損が発生しましたが、将来的には運用利ザヤの拡大に寄与する可能性があります。 - 割安性の評価
PBR0.60倍は依然割安。政府保有株や投資規制など特殊要因もあり株価は抑制されがちですが、安定収益と高配当を考えれば低評価との見方もあります。金利上昇局面では利益上振れも期待でき、中長期的に上昇余地があるでしょう。
17. あいちフィナンシャルグループ (7389) – 配当利回り 3.55%
- 配当利回り
3.55%(年間配当予想100円、株価約2,820円)。2022年に愛知銀行と中京銀行の経営統合で発足した持株会社で、初年度から高配当を実現。 - PER・PBR
- PER:27.1倍(統合関連費用で利益が一時圧迫されている影響)
- PBR:0.37倍(大きく割安)
- 配当性向
配当100円に対し、統合後の平常EPSは約250円前後と推定され配当性向40%程度。愛知銀行単体時代より大幅に還元方針を強化したと考えられ、今後統合効果で利益が拡大すれば更なる増配も期待できます。 - 事業戦略
名古屋圏を拠点とする地方銀行グループ。愛知銀行と中京銀行が対等統合し、店舗や本部機能の効率化によるシナジーを狙っています。中堅・中小企業の多い中京圏を主要顧客とし、トヨタグループ関連案件やインフラ整備ファイナンスを強化。統合による県内トップクラスの地位を活かし、県外展開やデジタル戦略にも注力しています。 - 直近の決算動向
統合初年度の2023年3月期は費用増で純利益は減少しましたが、2024年3月期は統合作業一巡で利益回復が見込まれます。シナジーによる経費削減と貸出金利回りの上昇で、コア業務収益が底上げされる見通し。ただし統合関連の一時費用はしばらく残るためPERが高く出ています。 - 割安性の評価
PBR0.37倍は顕著に割安。名古屋圏の潜在力を考えれば純資産の1/3程度の評価は低すぎる印象。統合効果の不透明感や旧中京銀行の経営弱含みが市場に慎重視されますが、シナジー顕在化で業績向上が見えれば大きな評価修正が期待されます。高配当利回りも魅力で、中長期投資妙味が高い銘柄です。
18. おきなわフィナンシャルグループ (7350) – 配当利回り 3.50%
- 配当利回り
3.50%(年間配当予想90円、株価約2,570円)。2022年に沖縄銀行が持株会社化して発足し、沖縄県最大手行として高い配当を継続。 - PER・PBR
- PER:8.3倍
- PBR:0.35倍(純資産対比で大きく割安)
- 配当性向
配当90円に対しEPSは300円弱と推定され、配当性向は30%台前半。沖縄銀行時代から30%前後の配当性向で、持株会社化後も同水準を維持。内部留保を確保しつつ増配余地を残しています。 - 事業戦略
沖縄県トップの地方銀行グループ。観光業や基地需要で独特の経済構造を持つ沖縄において、県内中小企業融資と個人向け住宅ローンで高シェア。成長する観光・IT産業への融資拡大や県外融資にも意欲的。地元のもう一行(琉球銀行)とは合併せず競合していますが、ATMなどで限定的な協調も進めています。 - 直近の決算動向
2023年3月期は連結純利益82億円(前期比7.3%増)で過去最高益。観光需要回復で貸出が伸び、貸倒引当金戻し入れも利益を押し上げました。2024年3月期も増益見通しで、上期純利益は前年同期比+18%。貸出金利息増と有価証券利回り上昇で資金利益が拡大中です。 - 割安性の評価
PBR0.35倍は著しい低水準。沖縄特有のリスク(基地経済や自然災害等)を織り込んでいるとみられますが、収益成長や財務健全性を考慮すると低評価が過度な印象。今後も増益・増配が続けば、見直しの可能性が高まります。
19. ちゅうぎんフィナンシャルグループ (5832) – 配当利回り 3.50%
- 配当利回り
3.50%(年間配当予想56円、株価約1,600円)。岡山県地盤の中国銀行が2022年に持株会社化し、引き続き高配当を実施。 - PER・PBR
- PER:11.4倍
- PBR:0.51倍(純資産対比半値程度の割安評価)
- 配当性向
配当56円に対しEPSは160円前後と推定され、配当性向35%前後。総還元性向50%を目指す方針で、2023年3月期は配当+自社株買いで実際に50%を達成。今後も安定配当+機動的な自己株取得による還元強化を図っています。 - 事業戦略
岡山県および隣県を営業基盤とする地方銀行グループ。預貸業務に加え、M&A仲介などコンサル業務を強化。地銀広域連合や近隣行への資本参加など、再編のリーダー的存在として動きが活発。持株会社化でリース・証券などグループ連携を強め、多角化を推進しています。 - 直近の決算動向
2023年3月期は連結純利益277億円(前期比2.7倍)と大幅増益(前期に減損計上があった反動)。2024年3月期上期も経常利益が前年同期比7%増で順調。貸出利息増・配当収入増や費用削減の進展で、コア業務は安定しています。 - 割安性の評価
PBR0.51倍と依然割安。地方銀行セクターゆえ敬遠されがちですが、再編に積極的で成長機会をうかがう戦略が評価されれば大きな見直し余地があるでしょう。高配当と相まって投資妙味のあるバリュー株です。
20. 十六フィナンシャルグループ (7380) – 配当利回り 3.47%
- 配当利回り
3.47%(年間配当予想160円、株価約4,615円)。岐阜県地盤の十六銀行が2021年に持株会社化し、高水準の配当利回りを維持。 - PER・PBR
- PER:8.7倍
- PBR:0.38倍(大幅割安、一桁台PERで収益力に比して株価が低位)
- 配当性向
配当160円に対しEPS400円前後と推察され、配当性向40%弱。旧十六銀行時代は30%台だったが、持株会社化に合わせ40%超を目標に掲げ増配傾向。 - 事業戦略
岐阜県および愛知西部をテリトリーとする地方銀行グループ。2020年に岐阜銀行を子会社化し効率化を推進。名古屋圏への展開も加速し、中京圏での存在感を高めています。DX投資やAPI活用など先進的な取り組みにも注力。 - 直近の決算動向
2023年3月期は純利益147億円(前期比8%減)で、有価証券損や統合費用の影響。本業のコア業務純益は改善基調で、2024年3月期は増益見通し。上期は貸出利回り上昇と経費削減が進み20%超の増益となっています。 - 割安性の評価
PBR0.38倍と非常に割安。東海地方という工業経済圏で将来性がありながらも、統合の不透明感や地方銀行セクターへの懸念で低評価。しかし業績は回復傾向にあり、高配当を享受しながら中期的なリターン向上が期待できます。
21. あおぞら銀行 (8304) – 配当利回り 3.41%
- 配当利回り
3.41%(年間配当予想70円、株価約2,050円)。都市銀行出身の全国型銀行として安定高配当を継続。 - PER・PBR
- PER:17.1倍(やや高め)
- PBR:0.69倍(依然割安圏)
- 配当性向
配当70円に対しEPS予想約120円で、配当性向は58%程度。配当性向50%以上を方針としており、近年60~70%の高水準で株主還元を重視しています。業績に変動があっても安定配当を維持する姿勢。 - 事業戦略
旧長銀→あおぞら銀行として再生し、全国に顧客基盤を持つ商業銀行。不動産ノンリコースや買収ファイナンスなど法人向けが強みで、富裕層向け資産運用にも注力。今後は信託・カードなど業務領域拡大を計画し、メガバンクに次ぐ独自路線を模索しています。 - 直近の決算動向
2023年3月期は純利益502億円(前期比3%増)。2024年3月期は増収減益予想ながら上期は堅調。米金利上昇に伴う外債評価損など懸念要素がありますが、コア業務は底堅く推移。自己資本規制への対応と高配当の両立を図っています。 - 割安性の評価
PBR0.69倍と割安。外債運用リスクや規制強化の懸念から市場は慎重ですが、収益力・財務は安定。金利環境好転や新事業の伸長で収益拡大が進めば、評価改善が見込まれます。
22. ふくおかフィナンシャルグループ (8354) – 配当利回り 3.35%
- 配当利回り
3.35%(年間配当予想135円、株価約4,035円)。九州最大の地銀グループとして安定配当を続け、利益成長に合わせ増配しています。 - PER・PBR
- PER:10.6倍
- PBR:0.78倍(1倍未満だが、地銀大手としては比較的評価が高い)
- 配当性向
配当135円に対しEPS予想約300円程度で、配当性向45%前後。配当性向50%を一つの目安に増配を継続しており、余剰資本で自己株買いも実施。総還元性向は50%超に達しています。 - 事業戦略
福岡銀行・熊本銀行・親和銀行を傘下に持つ広域地銀グループ。九州北部を中心に圧倒的シェアを誇り、銀行以外にも証券・クレジット・地域商社などへ多角化。デジタル戦略「ゼロバンク」を展開し、新たな金融サービスの創出にも注力。地銀再編でのリーダー格としても注目されています。 - 直近の決算動向
2023年3月期は連結純利益910億円(前期比2.8倍、持株会社化に伴う特殊要因含む)。本業は着実に増益基調で、2024年3月期も純利益740億円見通しながら進捗は好調。利ザヤ改善・手数料増加が続いており、不良債権比率も低水準を維持しています。 - 割安性の評価
PBR0.78倍は割安ながら地銀トップクラスの評価水準。福岡の成長力やグループの積極戦略が評価され始めた結果といえます。なお純資産以下の株価であり、さらなる利益拡大や再編次第では一段の評価改善も期待できます。
23. 琉球銀行 (8399) – 配当利回り 3.26%
- 配当利回り
3.26%(年間配当予想38円、株価約1,165円)。沖縄県の地方銀行として堅実な配当利回り。 - PER・PBR
- PER:8.5倍
- PBR:0.34倍(純資産の1/3程度の評価にとどまる著しい割安)
- 配当性向
配当38円に対しEPSは100円強とみられ、配当性向35~40%程度。2023年3月期は4円増配で配当性向約36%。今期は据え置き予定ですが業績好調で、持続可能な範囲で還元を続けています。 - 事業戦略
沖縄県で沖縄銀行に次ぐ規模の地方銀行。観光・米軍関連への融資を強みとし、県外融資も拡大中。沖縄銀行との合併話も長らくありますが現状は独立路線。システム面では全国地銀との共同化でコスト圧縮を図るなど、将来の成長余地を模索しています。 - 直近の決算動向
2023年3月期は純利益76億円(前期比27%増)と大幅増益。貸出金の伸びと与信費用戻り、債券売却益も寄与。2024年3月期も80億円台を見込んでおり、金利上昇で資金利益が改善傾向。不良債権費用も低位安定です。 - 割安性の評価
PBR0.34倍は過度に低い評価。沖縄県の高い成長率を踏まえると大きな潜在力があります。地銀再編で沖縄2行の統合などが進めば、純資産水準への修正で株価上昇が見込まれる可能性があり、現株価にはアップサイドポテンシャルがあります。
24. 北洋銀行 (8524) – 配当利回り 3.25%
- 配当利回り
3.25%(年間配当予想16円、株価約492円)。北海道の有力地銀として高めの利回りです。 - PER・PBR
- PER:10.3倍
- PBR:0.46倍(純資産の半分以下で割安)
- 配当性向
配当16円に対しEPSは35円前後と推定され、配当性向45%程度。利益増に合わせて増配しており、今後もおおむね40%台後半を上限に安定配当を維持するとみられます。 - 事業戦略
北海道札幌市に本店を置く地方銀行。旧北海道拓殖銀行系で道内2強の一角。農林水産業・観光業など地域特性に合わせた融資を展開。地方銀行連合(TSUBASA)に加盟し、システム共同化でコスト削減やサービス向上を図っています。 - 直近の決算動向
2023年3月期は純利益187億円(前期比4.7%増)。貸出金利息の下げ止まり・底打ちで資金利益が回復。2024年3月期も190億円超を計画し、上期は15%増益と順調。不良債権費用も低水準です。 - 割安性の評価
PBR0.46倍は著しく割安。北海道という広域市場を有しつつ、地方の人口減リスクが織り込まれているものの、足元の観光復調や食関連産業の活況を考慮すると割安感があります。地銀連合の効果が本格化すれば見直し余地は大きいでしょう。
25. オリックス (8591) – 配当利回り 3.19%
- 配当利回り
3.19%(年間配当予想98円、株価約3,080円)。総合金融サービス会社としては高い利回りで、近年大幅増配を実施中。 - PER・PBR
- PER:9.0倍
- PBR:0.86倍(1倍をわずかに下回る水準まで評価が上昇してきたが、依然割安感あり)
- 配当性向
配当98円に対しEPS予想300円超で、配当性向は30%台前半。連続増配方針を掲げ、自己株買いも活発。総還元性向は50%超と株主還元が充実しています。 - 事業戦略
リース・融資・不動産・発電事業・空港運営・保険・銀行など多角的な事業ポートフォリオを持つ企業。近年は海外資産運用ビジネスや環境エネルギーに注力。事業再編とグローバル展開を加速し、企業価値向上を狙っています。 - 直近の決算動向
2023年3月期は純利益3,130億円(前期比+1.7%)と過去最高を更新。2024年3月期は利益横ばい予想だが、主要事業は総じて堅調。不動産売却益や海外投資益が収益を下支えする一方、世界景気減速の影響も注視が必要。安定収益源が複数あるため底堅い業績が続いています。 - 割安性の評価
PBRは0.8倍台まで上昇したものの1倍未満。近年の積極的株主還元策で評価は改善しつつあり、事業の選択と集中が進む中、解散価値以上の評価(PBR1倍超え)も視野に入ります。依然として高い利回りと利益成長を考えると、まだ割安度は残っているでしょう。
26. 宮崎銀行 (8393) – 配当利回り 3.19%
- 配当利回り
3.19%(年間配当予想110円、株価約3,450円)。九州・宮崎県の地方銀行として堅実な配当で、高い利回りを確保。 - PER・PBR
- PER:6.3倍(超割安水準)
- PBR:0.31倍(極端に低評価)
- 配当性向
配当110円に対しEPS350円前後と推測され、配当性向30%台。配当性向は地銀平均並みですが、利益水準が高くPERが低いため利回りが高め。近年は増配傾向で配当性向引き上げ余地もあります。 - 事業戦略
宮崎県最大手の地方銀行。県内経済規模が小さいため周辺行との統合話もかつてありましたが、現在は独立。農業・畜産や観光への融資で地元を支えつつ、営業店効率化やデジタルサービス強化で収益率向上を図っています。 - 直近の決算動向
2023年3月期は純利益89億円(前期比18%増)でバブル期以来の高水準。貸倒引当金戻しや有価証券利息増が寄与。2024年3月期も純利益90億円程度を計画し、上期の経常利益は14%増。金利上昇による資金利益改善と与信費用抑制で安定した業績を維持。 - 割安性の評価
PBR0.31倍、PER6倍台は顕著な割安。県経済の停滞懸念で市場は慎重ですが、実際は高収益で配当利回りも高い。九州地銀再編の可能性もあり、実現すれば大幅な株価上昇も期待できるポジションです。
27. 三井住友フィナンシャルグループ (8316) – 配当利回り 3.01%
- 配当利回り
3.01%(年間配当予想120円、株価約3,990円)。メガバンク3行の一角で最高水準の利回り。 - PER・PBR
- PER:13.3倍
- PBR:1.02倍(純資産並みまで評価が改善、銀行平均並みのPER)
- 配当性向
配当性向40%を目処に増配を続けており、2023年3月期は配当120円・性向約41%。今期も5円増配予想で性向40%台を維持。自己株買いも適宜実施しています。 - 事業戦略
三井住友銀行を中核とするメガバンク。国内リテール・法人営業の強化とアジアでの海外展開が柱。野村證券との提携や関西みらい銀行完全子会社化など国内再編も推進し、インドネシアなど海外M&Aにも積極的。SBIホールディングスとの資本提携でネット証券・地銀支援など「攻めの戦略」に転換しています。 - 直近の決算動向
2023年3月期は純利益7,834億円(前期比+18%)で過去最高益。2024年3月期も7,800億円を計画し進捗好調。米金利上昇に伴う海外貸出利ザヤ拡大や円安効果、不良債権費用の低位推移で業績は堅調です。 - 割安性の評価
PBR1.02倍で解散価値並みまで評価が上昇。メガバンクの中では収益力に対する市場評価が最も高い水準ですが、それでも欧米銀行と比べればまだ低め。安定した利益成長と配当利回りを考慮すると、依然投資妙味があります。海外展開や国内金利正常化でさらなる評価余地も見込めます。
28. 三菱UFJフィナンシャル・グループ (8306) – 配当利回り 2.98%
- 配当利回り
2.98%(年間配当予想60円、株価約2,015円)。メガバンクとして高い部類に入り、ほぼ3%の水準です。 - PER・PBR
- PER:13.3倍
- PBR:1.14倍(国内銀行で唯一PBRが1倍超え、時価総額も国内最大)
- 配当性向
配当性向40%超を目標に掲げ、2023年3月期は配当41円・性向約33%。2024年3月期は60円(大幅増配)予定で性向40%程度の見込み。利益成長に合わせ積極還元を続けています。 - 事業戦略
国内最大のメガバンクグループ。国内リテールからグローバル投融資まで網羅し、特に海外買収(タイ大手銀行や米地銀の買収)で海外利益比率を高めています。デジタル領域ではグローバル決済やデジタル通貨への投資を強化。グループ内再編や非中核資産売却で資本効率を改善しています。 - 直近の決算動向
2023年3月期は純利益1兆1,178億円(前期比+7.4%)で初の1兆円超え。2024年3月期も1兆円超を計画し上期は順調。米金利上昇で海外利益が拡大し、国内も与信費用が低水準。米地銀への出資減損などリスク要因はあるものの、全体への影響は限定的で財務体質は強化されています。 - 割安性の評価
PBR1.14倍まで上昇し、日本の銀行株で初めて純資産を上回る評価を獲得。海外投資家からの評価が高まっていますが、配当利回り約3%とPER13倍はグローバル基準ではまだ割安。国内外の成長と還元強化を背景に、安定したリターンが期待できるでしょう。
29. コンコルディア・フィナンシャルグループ (7186) – 配当利回り 2.96%
- 配当利回り
2.96%(年間配当予想27円、株価約915円)で3%に近い水準。横浜銀行と東日本銀行の統合持株会社として安定配当を継続。 - PER・PBR
- PER:13.3倍
- PBR:0.82倍(0.8倍強で依然割安だが、過去よりは評価改善)
- 配当性向
配当27円に対しEPSは50円弱とみられ、配当性向55%前後と高め。グループ方針として配当性向50%以上を掲げ、増配や自社株買いも組み合わせています。 - 事業戦略
神奈川県・東京都を地盤とする広域地銀グループ。2016年に横浜銀行(神奈川最大手)と東日本銀行(都内地盤)が統合。システム統合など内部効率化が一巡し、今後は富裕層ビジネスやスタートアップ支援など新分野拡大を狙っています。東日本銀行の収益底上げも課題です。 - 直近の決算動向
2023年3月期は純利益543億円(前期比3.5%増)。2024年3月期は600億円(+10%)を見込み、貸出利息増やフィンテック企業株の売却益も寄与。不良債権費用は小幅で収益は安定的に推移しています。 - 割安性の評価
PBR0.82倍はまだ割安圏。首都圏地銀としてのブランド力を考慮すれば低い評価に留まるものの、統合後の効率化が進み収益力は改善傾向。配当利回り約3%も魅力で、業績拡大に応じて株価見直しが進む可能性があります。
30. 千葉銀行 (8331) – 配当利回り 2.95%
- 配当利回り
2.95%(年間配当予想40円、株価約1,355円)。地方銀行単体としては随一の財務体質を誇り、着実な増配で高水準利回りを実現。 - PER・PBR
- PER:13.7倍
- PBR:0.82倍(まだ1倍未満だが、地銀の中では相対的に高い評価)
- 配当性向
配当40円に対しEPSは120円前後で配当性向は約33%。安定配当+業績連動増配方針で、自己株買いも定期的に実施し、総還元性向は40%台後半に達しています。 - 事業戦略
千葉県および東京東部を基盤とする日本最大級の地方銀行。豊富な預貸量と優良顧客基盤をもち、不動産ノンリコースやシンジケートローンなど先進的取引にも積極参入。地銀連合の音頭を取るリーダー格で、DX投資にも熱心。武蔵野銀行との連携も含め広域戦略を推進しています。 - 直近の決算動向
2023年3月期は連結純利益777億円(前期比5.4%増)で2期連続増益・過去最高益。貸出増加や有価証券利息増で資金利益が改善。2024年3月期はやや減益予想ながら上期進捗は好調です。 - 割安性の評価
PBR0.82倍は割安ではあるものの、地銀のなかでは高め。安定収益と成長戦略の一部は市場に評価され始めていますが、依然として純資産以下。今後の増益・増配が続けばPBR1倍超えも視野に入り、株価上昇が期待できます。
- 1. イオンフィナンシャルサービス (8570) – 配当利回り 4.21%
- 2. 紀陽銀行 (8370) – 配当利回り 4.04%
- 3. 第四北越フィナンシャルグループ (7327) – 配当利回り 3.98%
- 4. 三井住友トラスト・ホールディングス (8309) – 配当利回り 3.96%
- 5. 三十三フィナンシャルグループ (7322) – 配当利回り 3.96%
- 6. 秋田銀行 (8343) – 配当利回り 3.95%
- 7. ひろぎんホールディングス (7337) – 配当利回り 3.92%
- 8. しずおかフィナンシャルグループ (5831) – 配当利回り 3.90%
- 9. Jトラスト (8508) – 配当利回り 3.85%
- 10. 鳥取銀行 (8383) – 配当利回り 3.82%
- 11. 山陰合同銀行 (8381) – 配当利回り 3.80%
- 12. 西日本フィナンシャルホールディングス (7189) – 配当利回り 3.67%
- 13. 筑邦銀行 (8398) – 配当利回り 3.64%
- 14. セブン銀行 (8410) – 配当利回り 3.61%
- 15. 池田泉州ホールディングス (8714) – 配当利回り 3.61%
- 16. ゆうちょ銀行 (7182) – 配当利回り 3.61%
- 17. あいちフィナンシャルグループ (7389) – 配当利回り 3.55%
- 18. おきなわフィナンシャルグループ (7350) – 配当利回り 3.50%
- 19. ちゅうぎんフィナンシャルグループ (5832) – 配当利回り 3.50%
- 20. 十六フィナンシャルグループ (7380) – 配当利回り 3.47%
- 21. あおぞら銀行 (8304) – 配当利回り 3.41%
- 22. ふくおかフィナンシャルグループ (8354) – 配当利回り 3.35%
- 23. 琉球銀行 (8399) – 配当利回り 3.26%
- 24. 北洋銀行 (8524) – 配当利回り 3.25%
- 25. オリックス (8591) – 配当利回り 3.19%
- 26. 宮崎銀行 (8393) – 配当利回り 3.19%
- 27. 三井住友フィナンシャルグループ (8316) – 配当利回り 3.01%
- 28. 三菱UFJフィナンシャル・グループ (8306) – 配当利回り 2.98%
- 29. コンコルディア・フィナンシャルグループ (7186) – 配当利回り 2.96%
- 30. 千葉銀行 (8331) – 配当利回り 2.95%
- まとめ
まとめ
上位には、PER一桁台やPBR0.x倍など、際立って割安な銘柄が並びます。多くの銀行が足元で増収増益傾向にあり、株主還元(配当・自社株買い)を強化しているのも特徴です。特に地方銀行ではPBRが0.2~0.5倍程度の超低水準が目立ち、構造的な地方経済の課題や地銀再編リスクが割安の一因となっています。しかし実際には財務健全性が高く、堅実な黒字経営を続ける銀行も少なくありません。
メガバンク・大手地銀など一部はPBRが1倍前後まで上昇し始めていますが、それでも海外金融機関と比べれば依然割安。国内金利正常化や業務改革の成果が本格化すれば、さらなる評価改善が見込める可能性があります。もっとも、各行の地域経済環境や事業モデルには個別のリスクもあるため、ビジネス戦略の見極めは重要です。割安性と業績動向を勘案しながら、魅力的な高配当バリュー株を選定することが求められるでしょう。