日本電信電話株式会社 2025年3月期 第3四半期決算短信 まとめ

投資・資産形成

1. 財務情報の詳細分析

① 収益と利益

  • 営業収益: 10兆497億円(前年同期比 +3.4%)
    → 過去最高を更新
  • 営業利益: 1兆3,992億円(前年同期比 -5.9%)
    → 減益
  • 当期利益: 8,507億円(前年同期比 -15.9%)
  • EBITDA: 2兆5,525億円(前年同期比 -0.7%)

② セグメント別の業績

セグメント営業収益 (億円)営業利益 (億円)
総合ICT事業4兆3,7048,339
地域通信事業1兆7,9022,956
グローバル・ソリューション事業3兆2,6212,360
その他 (不動産・エネルギー等)6,269547
  • 総合ICT事業が収益の最大割合を占める。
  • グローバル・ソリューション事業の成長が目立つ。
  • 地域通信事業はやや減速。

③ 財務状況

  • 総資産: 30兆6,034億円(前年同期比 +9,991億円)
  • 株主資本比率: 33.2%
  • 自己株式の増加: -1兆799億円(前年同期 -9,373億円)
  • 有利子負債: 10兆9,798億円(前年同期比 +13,888億円)

④ キャッシュフロー

  • 営業キャッシュフロー: 1兆782億円
  • 投資キャッシュフロー: -1兆4,451億円
  • フリーキャッシュフロー: 1,617億円
  • 設備投資: 2兆1,500億円(前年同期比 +4.2%)

→ 投資負担が大きいが、成長に向けた積極的な戦略。


2. 株主還元策

① 配当

  • 2024年度の年間配当: 5.20円(前年 5.10円 → 増配)
  • 配当性向: 予想50%
  • 近年の増配傾向が継続。

② 自社株買い

  • 2024年8月7日発表: 最大2,000億円の自己株式取得を決定。
  • 2024年12月末時点で 1,617億円を取得済み。

→ 株主還元強化の姿勢を明確にしている。

③ 株主優待

  • 100株以上で「dポイント」付与。(継続保有の株主のみに贈呈)
    継続保有2年以上3年未満の株主は1,500ポイント、継続保有5年以上6年未満には3,000ポイント付与。

3. 今後の展望

① 成長戦略

  • IOWN(オールフォトニクス・ネットワーク)の推進
    • 最大800Gbpsの通信サービス提供
    • 量子計算プラットフォーム開発
  • 5G・6Gのインフラ投資
    • 国内外での5G拡充
    • 6G開発への取り組み
  • 海外市場の拡大
    • インドでのデータセンター事業強化
    • グローバル市場向けソリューション展開

② 成長性

  • 5G・6G、データセンター、AI関連事業の成長余地あり
  • 海外展開の加速(特にインド・米国)
  • 都市開発(大阪・関西万博関連)での新規事業機会
  • ただし、国内通信市場の伸びは鈍化傾向。

③ 割安性

  • 予想PER: 約9.4倍(業界平均より低い)
  • PBR: 約0.8倍(資産価値の割安感あり)
  • 配当利回り: 約3.6%(安定的な高配当)

→ 割安だが成長の鈍化が懸念材料。


4. まとめ

  • 収益は過去最高更新も、利益は減少傾向
  • 高配当と自社株買いを強化し、株主還元策は積極的
  • **成長分野(IOWN・5G・データセンター)**に注力するも、国内市場の鈍化が課題。
  • バリュエーション的には割安で、長期投資向き。

総合評価: “安定高配当&成長期待銘柄”

  • 短期的には利益減少が懸念されるが、長期的な成長ポテンシャルは十分
  • インカムゲイン(配当)目的の投資に適した銘柄

免責事項:本記事は、株式会社ムサシの最新決算情報を基に、財務状況、株主還元策、研究開発戦略について解説するものです。本記事の内容は、投資助言や推奨を目的とするものではなく、投資判断は読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。本記事の情報に基づいて生じたいかなる損失についても、当サイト及び執筆者は一切の責任を負いません。投資に関する最終決定は、ご自身で十分な調査を行い、必要に応じて専門家に相談の上で行ってください。

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