くら寿司がPTSでストップ高!その理由と今後の展望を解説

投資・資産形成

2025年2月19日、くら寿司(証券コード: 2695)の株価が夜間PTSでストップ高(3090円)となりました。
なぜこれほど急騰したのでしょうか? また現在の株価水準は割安と言えるのか、今後の見通しと合わせて考察してみます。


ストップ高の背景:株価急騰の要因は?

株主優待の“復活”がサプライズ材料に!

2025年2月19日16時30分、くら寿司は株主優待を再導入すると発表しました。実は2024年12月に株主優待の廃止を発表して株価が急落・低迷していた経緯があり、待望の優待復活に買いが殺到したのです。

PTSで一時ストップ高に到達

優待再開のニュースを受けて、夜間取引(PTS)では当日終値2590円から+500円(+19.3%)高の3090円まで急騰し、値幅制限の上限に張り付きました。優待廃止ショック前の昨年12月11日終値(3865円)から大きく下げていた分、リバウンド狙いの買いも入ったようです。


現在の株価と投資指標をチェック(PER・PBRなど)

PER・PBRから見た割安度

2025年2月19日終値2590円時点で予想PER(株価収益率)は約30.3倍、PBR(株価純資産倍率)は約1.82倍でした。PTS株価3090円換算ではPERは36倍前後、PBRも2倍超に上昇します。一般的な市場平均と比べると割安感はやや乏しく、利益水準に対して株価は高めと言えそうです。

過去の株価推移と比較

くら寿司株は昨年4月に年初来高値5310円を付けており、優待廃止発表直前の3865円から今年にかけて大きく下落していました。直近では2025年2月17日に年初来安値2537円まで売り込まれており、今回PTSで付けた3090円は安値から大きく反発した水準です。それでも昨年のピークと比べればまだ低く、今後の業績や材料次第では戻り余地も残っているようにも見えます。


配当利回りと株主優待の魅力を評価

配当は控えめ

会社予想による1株配当は20円で、2月19日終値ベースの配当利回りは約0.77%とやや控えめです(PTS株価3090円では約0.65%)。高配当銘柄とは言えないものの、安定配当を出しています。

株主優待の内容

株主優待は年1回(4月末基準)で実施予定です。100株以上保有の株主に対し保有株数に応じてくら寿司の食事券を進呈する形式で、具体的には以下のとおりです。

  • 100株以上 … 優待食事券 2500円分
  • 200株以上 … 優待食事券 5000円分
  • 400株以上 … 優待食事券 1万円分
  • 1000株以上 … 優待食事券 2万円分

優待利回りは約1%ほど

例えば100株(約25.9万円 ※終値ベース)保有の場合、もらえる2500円分の食事券は利回り換算で約0.96%になります。配当利回りと合わせた総合利回りは約1.7%程度と大きくはありませんが、自社店舗で使える食事券はくら寿司ファンの個人投資家にとって嬉しい特典でしょう。

優待券が使いやすく改良

従来は「1000円ごとに500円割引券」という形でしたが、再導入後は額面通り使える食事券となり、より使いやすくなりました。優待内容そのもの(もらえる金額)は以前と同じですが、紙の食事券となったことで会計時に全額を優待券で支払うことも可能になります。


くら寿司の成長性:海外展開や将来の展望

海外事業が業績拡大のカギ

くら寿司は国内のみならず海外にも積極出店しており、海外事業が好調です。2024年7月末時点で海外店舗数は米国に64店、台湾57店、中国本土3店の合計124店舗に達しており、特にアメリカでの売上が好調とされています。現地では行列ができる店舗もあるほど人気を博しているようです。

海外400店舗計画

さらに今後も海外展開を加速させる方針で、2030年までに海外店舗数を約4倍の400店に増やし、海外売上高1500億円規模を目指すという長期計画を掲げています。この野心的な目標が実現すれば、海外事業が同社の主要な成長ドライバーとなるでしょう。

インバウンド需要と新業態への期待

国内では回転寿司市場自体がコロナ明けで拡大基調にあります。2023年の業界市場規模は前年比108.8%の約7829億円に達し、2024年もさらに成長見込みです。くら寿司は浅草・道頓堀・原宿など観光地に「グローバル旗艦店」を展開して訪日観光客の集客にも努めており、都心部への出店強化で新たな顧客層を取り込んでいます。寿司にエンタメ要素を掛け合わせた独自のサービス(皿5枚でガチャが回せる「ビッくらポン!」等)は老若男女や海外観光客にもウケており、こうした強みが今後の成長を後押ししそうです。

業績はコロナ禍から回復中

2023年10月期の連結売上高は前期比115.5%の約2114億円、営業利益約24億円と3期ぶりの黒字化を果たしました。特に米国法人(くら寿司USA)は売上が前年の151.3%に伸び、上場以来初の通期黒字を達成するなど海外が大きく成長しています。足元では成長ペースが鈍化しているものの、長期的には国内外での出店拡大余地があり成長余力はまだあると考えられます。


考えられるリスク要因

コスト高騰と値上げリスク

最近の原材料価格や人件費の高騰はくら寿司の利益を圧迫しており、2025年10月期の会社予想は営業減益見通しとなっています。こうしたコスト増を価格転嫁(メニュー値上げ)で吸収するにも限界があり、安易な値上げは顧客離れに繋がる恐れがあります。実際、「安さ」が魅力の回転寿司業態では値上げによる客数減少リスクは常に念頭に置く必要があります。

競合との熾烈な争い

回転寿司業界はスシロー(FOOD & LIFE Companies)やはま寿司(ゼンショーHD)、かっぱ寿司など競合他社とのシェア争いが激しい分野です。それぞれがメニュー開発や販促にしのぎを削っており、顧客の奪い合いが続いています。また、昨今話題となった「寿司テロ」事件(迷惑行為動画)の影響で業界全体が衛生管理を強化し、くら寿司でも全皿にカバーを掛けるなど対策済みですが、飲食店として信頼を維持する努力は今後も重要でしょう。

海外展開の不確実性

海外での大規模出店計画には為替変動や各国の消費者嗜好の違い、さらには地政学リスクなど不確定要因が伴います。特に今後力を入れる中国本土市場はポテンシャルが大きい反面、政治・経済情勢によって事業環境が大きく変わるリスクがあります。現地の食文化への対応やオペレーションの標準化など、乗り越えるべき課題も少なくありません。

経営陣への信頼と株主対応

株主優待の方針転換(廃止→復活)は個人株主に歓迎されましたが、一度は優待廃止を決めた経営判断に不信感を抱いた投資家もいたはずです。再導入で株価は回復基調にありますが、経営陣が株主還元と企業成長を両立できるか、ガバナンス面の信頼回復にも注目したいところです。


まとめ:くら寿司の株は今が買い時か?

短期的には上昇一服の可能性も

株主優待再導入というポジティブサプライズで株価は急騰しましたが、一日で約2割も上がった直後の水準で飛びつくのは慎重になりたいところです。指標面でも割安感は強くないため、短期的には材料出尽くしで一服する可能性も考えられます。

長期目線では成長余地に期待

一方、優待復活によって個人投資家の支持基盤が戻りつつあり、海外展開による長期成長期待もあります。株価がまだ昨年の高値圏より低い今のうちに仕込んでおき、気長に成長を見守るというスタンスも選択肢としてありでしょう。業績が予想以上に改善したり海外戦略が軌道に乗れば、再評価される余地は十分あります。

結論:くら寿司ファンなら買いもありかも!?

くら寿司の寿司がお好きで優待券も魅力的と感じる個人投資家なら、今回の優待復活は買い増しを検討する後押し材料になりそうです。ただし短期的なボラティリティ(値動きの振れ)には注意しつつ、中長期の成長ストーリーを信じられるかで判断すると良いでしょう。現在の株価水準だけで飛び付くのではなく、業績動向や競合状況も見極めながら、自分にとって“買い時”かどうか慎重に考察してみてください。

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